「医者」と書いてあった。それだけで申し込んだ。
写真はなぜか横向き。スマホを傾けないと顔がちゃんと見えない。
今なら、この時点で申し込まない。
でも当時の私は相談所を始めたばかりで、「同業なら話も合うかもしれない」と思っていた。
かなり医者という肩書きを信用していた。

同じ県内なのに、オンライン希望だった
お見合いが成立すると、相手から連絡が来た。
「初回はオンラインでお願いします」
住んでいる場所を見る限り、たぶん30分もかからない距離だった。
私は少し思った。「そんなに会いに行くの面倒なんかな」
でも相談所初心者である。
オンラインお見合い自体は普通にある。
「まあ、こういう人もいるか」と思って承諾した。
白シャツ、白い壁、上級医との面談

当日、Zoomをつないだ。
白いシャツ。背景も白い壁。かなり白かった。
本人が背景に溶け込みそうになっている。
話は普通にできた。質問もしてくれる。別に嫌な人ではない。
ただ、始まって5分くらいで思った。
「あ、ないな」
恋愛の感じが全然しなかった。
何か悪いことを言われたわけでもない。ただ、話している感覚が完全に仕事だった。
研修医の頃に上級医と面談している時みたいだった。
「最近どう?」「仕事は?」「今後どう考えてる?」みたいな空気。
私は途中から、婚活をしているのか面談を受けているのか分からなくなった。
終わったあと、「医者」しか残らなかった

お見合いが終わって、改めて相手のことを考えた。
4歳上、かなりふくよか。実家暮らし。
同じ県内なのに初回からオンライン希望。そして医師。
私はそこで気づいた。
「私、この人のどこがいいと思って申し込んだんだろう」
考えても、あまり出てこなかった。
最終的に残ったのは、「医者だったから」だった。
横向き写真の時点で、ちょっと気にはなっていた
振り返ると、最初から気になるところはあった。
プロフィール写真が横向き。近いのにオンライン希望。見た目もそこまで好みではない。
でも私は全部、「まあ医者だし」で流していた。
同業なら話が合うかもしれない。仕事への理解もあるかもしれない。結婚後も楽かもしれない。
勝手にその先まで補完していた。
実際に話してみると、別に医師同士だから特別盛り上がるわけでもなかった。
普通だった。かなり普通だった。
肩書きだけでは、好きになれなかった
相談所を始めた頃の私は、かなり条件を見ていた。
医師、年収、学歴、年齢。
そこが良ければ、あとは会えば何とかなると思っていた。
何ともならなかった。
条件が良くても、「会いたい」と思えない人はいる。話してみても、何も起こらないこともある。
当たり前である。
でも私は、この頃まだその当たり前を一件ずつ確認していた。
このお見合いも、その一つだった。
そして今振り返って、一番覚えているのは医師という肩書きでも、オンラインお見合いでもない。
写真が横向きだったことである。
やっぱり、そこは最初からちょっと気になっていた。
次のお見合いでは、また別の意味で「プロフィールだけでは分からんな」と思うことになる。
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